陽がさすと、寒さの中にも少し春の気配を感じるようになりました。今週末は節分。いよいよ本格的に2017年もスタートを切りますね。
夢を語れる農業に
昨日は、行政機関様と農業求人支援会社・あぐりーん様とのコラボで、新規就農希望者研修として、13名の参加者と晴天の中でセミナーや農作業体験を行いました。
10年ほど前でしたら、『トマトやイチゴを作れば儲かります』とか、『スーパーと契約出荷で販路を確保しましょう』などとレクチャーしていたのでしょうが、時代はどんどん変化し、そんなアドバイスは陳腐なものになってしまったのかなと思います。単純にモノを売る、からコトを売れ。なんていいますが、その分農業界ではここ10年、HPをつくりましょう!とかブランディングしましょう!などど声高に叫ばれ、チラシをつくり、法被をつくり、ラベルシールをつくり、綺麗な箱に野菜を詰めるなど、農家は生産資材だけでなく、プラスαの出費がかさんできているのが現実です。しかしながら、そのような動きは全国どこでもやっていることであり、少々パッケージやweb対策をしたとしても、突出してPRできることはなく、また大手企業には全く歯が立ちません。
ましてや、農業の扉を叩く方も、その思いは多種多様で、専業農家として就農して終身農業界で骨を埋める。なんて方は少なくなり、いわゆる半農半X的な農との関わりを求める方も多くなってきています。そもそもメシを食っていくために農業をやる。には、そんなに大儲けできる産業ではないのが現実です。(単純な生産出荷でという意味で。もちろん流通や販売を自社でやれば一気に売上高はあがりますが、それを農業ととらえるのではなく、関連産業への事業拡大としてとらえると。)で、あったとするならば、もちろん儲けたい!でもいいですが、どんな想いで農業を志すか?が何より最初に考えておかなければならないことかとおもいます。
無意識の壁
たとえば飲食店をやりたいと思えば、修行にいって、腕が上がったり経営のことを勉強したり、資金を用意したりしながら、暖簾分けして独立する。これがいたってスムーズなステップではないでしょうか。しかしながら農業では、よくも悪くも農業や地方創生などの農業施策のほうが前に出すぎて、新規就農を目指す方はまず行政機関を窓口に相談にいきます。そこでは、施策の大きな流れをもとに、その人の人生の決断を迫る提案がなされます。飲食店をはじめるのに、まず保健所へ相談にいくようなもので、そこでラーメン屋にするのかイタリアンがいいか?なんてことを相談しているようなもんです。
では、なぜ農業界では、まず農家に相談しないのか?それは新規就農希望者ではなく、農家側も日頃から行政機関を窓口にしてやりとりを行い、世間になかなか出ていかないことが課題かとおもいます。そうではない農家さんも多くはなりましたが、圧倒的に受身の状態で業界全体が動いていることが見えてきます。自分自身も振り返ればそうであったし、そこに意識はなく気がついていなかったことが一番問題であったかもしれません。
大我に生きる
ダブルワーク、週休2日、終身雇用、年功序列、ノマドワーカー、シェアリングエコノミー、AI、ITなどなど、加速する時代の変化という事実の一方、超アナログで自然相手に農業をすることを融合させることとで、新しく農業に関心を持った方と、新しい農業は出来上がります。施策誘導に乗っかるための表面上の連携や、農業ではなく、志をもって繋がる関係をどうつくっていくか。
そのため必要なことは何かを考えて、行動していくことの繰り返しこそがこれからの自分のライフワークであり、一番の楽しみです。キラキラした新規就農希望者の方々と一緒に過ごしながらそんなことを改めて考える一日になりました。
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